CFLに挑戦中の町野選手(京大)と山崎選手(阪大)にオンラインインタビュー!【第三弾】

京大・阪大オンライン対談第3弾。CFLにドラフト指名され、世界に挑み続けている京都大学OBのOL町野友哉選手(2015年入学、現富士通フロンティアーズ)と、大阪大学OBのK山﨑丈路選手(2013年入学、現オービックシーガルズ)。これでお二人の対談は最終回となります。お二人がフットボールを通して得たものとは。また、今後の展望をどのように描いているのでしょうか。

■フットボールで得たもの

斎藤)フットボールを続けていてよかったことは何ですか

山﨑)大学の時はキッカーとして自分を高めていきたくて、主体的に外に出ていろんな人の意見を聞いていました。それは社会に出てもすごく大事なスキルの一つだと思っています。主体性を持って、自分の軸を持って行動するのは何をやるにも同じ。仕事をする上でも同じだと思います。そうすることで周りから見る目も変わるし、自分に返ってくるものも増える。それはフットボールをして、キッカーというポジションをやっているからこそ得られた能力で、社会に出ても生きるかなと思います。

僕はネガティブ(な思い)がポジティブに変換される人間なので、キックに専念できずにモヤモヤしていた時代が、今のモチベーションを最大化するすごく良い機会になりました。感謝しています。

オービックシーガルズ提供

町野)フットボールは、日々継続してやらなきゃいけないことが色々あります。例えば僕のポジションは、毎日どんなにお腹が空いていなくても体重維持のためにご飯をしっかり食べるとか、体をでかくするためにトレーニングを継続するとか、練習ではヒットを上達させるために同じことを繰り返しやるとか。そういうコツコツと継続することを4年間続けられたのは、すごく自信になります。

4年間頑張り切った自信があるからこそ、(京大アメフト部で)一時期流行った「自己効力感」がすごく高まって、社会に出ても生きるんじゃないかと思います。自分ならできるという根拠のない自信、俺ならフットボールに限らずどんな困難に対しても負けずにできる、と。根拠はないけど、困難に遭っても「俺やったらできる」という思いで取り組めるのは、フットボールをやっていてよかったところだ思います。

山﨑)大事なことを忘れていたので、もう一個だけしゃべってもいいですか?(一同笑)

フットボールは他のスポーツに比べて、動きの細かい部分を注視するスポーツだと思っているんです。ミクロの部分をさらに細分化して見る能力と、本質を突き詰めていく能力。ミクロを細分化するうちにマクロを俯瞰的に捉えられるようになる能力は、アメフトをしていて得られるものかなと感じています。それは何に対しても生きると思うので、アメフトをやっていてよかったポイントです。

 

■それぞれの原動力

――アメフトを続けてこられた原動力は何ですか?また、感謝したい人がいれば教えてください

町野)大学では、高校時代に野球で悔しい思いをしたことが原動力ですね。「自分はこんなもんじゃない、どうしてもスポーツで成功したい」という強い思いがあって、4年間頑張れたんじゃないかと思います。その後の海外挑戦では、そうした悔しさより「もっとできる、もっと上を目指したい」という思いが原動力になっているのかなと。

あとは今回ドラフト指名を受けて、周囲からの応援の言葉が大きな力になっていることを再認識しています。家族や友達、会社の人たちまで応援してくれて、期待に応えたいという気持ちが力になっていることをすごく実感しています。

感謝したい一番は、やはり両親です。まずは大きな体に産んでくれて、大きく育ててくれたことに感謝していますし、大学時代にバイトもせずアメフトだけに集中させてもらった。普通はあり得ないことだし、それがあったからこそ、今海外挑戦ができています。

あともう一人。京大HCの三輪さんが、海外挑戦を始めたころから協力してくださっていて、卒業した今もエージェントとつなぐ役割をしてくださっています。三輪HCがいなければ、海外挑戦はできていませんでした。

山﨑)「自分がやりたいことだから」というのが一番大きな原動力です。やりたいことをやるのに何か理由が必要ですか、という気持ちです。キックを探求するという行為自体が、自分の人生におけるやりたいことなので、決まりきったゴールや中間地点がない。だからこそ死ぬまで、もしくは死んでもやり続けるんだろうなと思いながらやっています。結果としての最終地点に、NFLのオールプロ1軍というのを置いていて、CFLもNFLもプロセスの一環として捉えています。

感謝したい人は、両親と亡くなった友人ですね。両親は昔から厳しかったんですが、僕のやりたいことは応援してくれます。理解のある家庭に恵まれましたし、そういう親でいてくれて本当にありがとうと思っています。亡くなった友人がいなければ、僕の考えが変わることも、今している選択もなかったと思います。彼の存在があったことで、僕は早い段階で考え方の転換をすることができた。素直に感謝したいです。

また、町野も言ったように、今回の挑戦をするにあたって本当に色々な人から応援してもらっていることを認識しました。僕自身はやりたいことをやっているという感覚ですが、それでも関係なく応援してくれる人がいる。エゴでやっているつもりでも、応援してくれる人がいないとできないんだと思うことが多いです。感謝の気持ちを常に忘れずやっていきたいし、結果を出すことがそのお返しになるかなと思っています。

 

■「今が一番面白い生き方を」(町野)/「キックの最前線に立ち続ける」(山﨑)

――最後の質問です。アメフトでの夢や、人生の目標・展望など、これから何を目指しているのか教えてください。

町野)今はNFL選手になること、直近ではCFLでロースター(登録メンバー)に残り、スターターを勝ち取って活躍することが目標です。その先のことはあまり考えていません。今の一瞬一瞬でベストを尽くして、アメフトでいけるところまでいきたい。

人生の目標は今のところありません。ただ、常に「今が一番面白い、わくわくしているな」と感じられる生き方をしたいです。

山﨑)人生でやりたいことはキックを追求すること、つまり「高く、遠く、正確に」という点で、これが正しいと思うやり方を研究していくことです。いま世に出ている正解が、数年後にはそうでなくなっているかもしれないけど、正解はある。そう信じて、キックの最前線に立ち続ける人間でありたい。

アメフトは、キックを追求するプロセスの一環だと思っています。キックの第一人者、キックを追求する体現者であり続ければ、最終目標であるNFLのオールプロ1軍にたどり着く。そこから逆算して、NFL選手になる、CFL選手として活躍する、キャンプでロースターに選ばれる、といったことが直近の目標ですね。

 

 

◎町野友哉 Tomoya Machino

1997年3月16日、岐阜県大垣市生まれ。大垣北高校から京都大学工学部に進学。小学校から高校まで野球を経験。大学で始めたアメリカンフットボールでは、一貫してOL。長身と巨体を生かしたプレーが持ち味。2018年、大学日本代表に選出される。2019年にはアメリカやドイツでNFLやXFL(共にアメリカのプロリーグ)のトライアウトに参加。2020年、富士通に入社し、富士通フロンティアーズに入団。CFLドラフトでは2巡15位でWinnipeg Bluebombersに指名された。198cm、140kg。趣味はドラマ鑑賞。

 

◎山﨑丈路 Takeru Yamasaki

1993年9月2日、大分県大分市生まれ。大分上野丘高校から大阪大学に進学。小学校から高校までサッカーを経験。大学でアメリカンフットボールを始め、KのほかWRやRBとしてプレーした。長距離を苦もなく決めるキック力が魅力で、練習では73ヤードFGを成功。2017年にエレコム神戸ファイニーズに入団、2020年にオービックシーガルズに移籍。CFLドラフトでは3巡19位でBC Lionsに指名された。173cm、83kg。趣味は、動きの勉強と自然鑑賞。